風邪を引いてしまった時や、胃腸が疲れて食欲がない時。「にゅうめんとそうめん、うどん。どれが一番胃に優しいのだろう?」と迷われた経験はございませんか。
結論から申し上げますと、体が弱っている時に最もおすすめしたいのは、温かいお出汁で柔らかく煮込んだ「にゅうめん」です。
「そうめんは消化にいいの?」というご質問には、細い麺を柔らかく煮て、温かく・少なめに食べれば、胃腸に負担をかけにくい食べ方ができる麺です、とお答えしています。
冷たいまま一度にたくさん食べると、かえって負担になることがあるので、食べ方が大切です。
この記事では、日々粉と向き合う製麺所の職人の目線から、それぞれの麺の違いと、胃腸に負担をかけない理由をお話しいたします。
この記事をお読みいただければ、ご自身や大切な人が体調を崩された時、迷わず本当に美味しい「回復のための食事」をご用意いただけるはずです。

病気の時・疲れている時の麺選び 早見ヒント
まずは、用途に合わせてパッと見ていただける、職人としての基準をまとめました。
- にゅうめん(温): 【最適】温かいお出汁を吸ってふっくら柔らかくなるため、胃への負担が最小限。体を芯から温めます。
- そうめん(冷): 【注意】つるりと喉を通りやすいですが、冷たさが胃腸の働きを鈍らせるため、体力が低下している時は控えめにするのが無難です。
- うどん(温): 【良】温かくすれば消化は良いですが、麺に太さがあるため、しっかり噛んで飲み込む体力が必要です。
同じ小麦粉から生まれる、そうめんと「うどん」の決定的な違い
そうめんもうどんも、主原料は「小麦粉、塩、水」と非常にシンプルです。では、何が違うのかといえば、その「太さ」と「作り方」にあります。
うどんは生地を平らに伸ばして刃物で「切る」麺ですが、私たちが作っている手延べそうめんは、生地を撚(よ)りながら細く細く「延ばす」麺です。

朝早く、まだ薄暗い工場の中で生地を延ばしていくと、かすかに塗ったごま油の香りがふわりと漂い、麺はまるで絹糸のような滑らかな手ざわりへと変わっていきます。この「切らない」製法により、そうめんの表面はツルツルと滑らかに仕上がります。
うどんはその太さゆえの「しっかりとした噛み応え」が魅力ですが、弱った胃腸には、噛む力をあまり必要とせず、滑らかな表面が喉を優しく通り抜けていく細いそうめんの方が、圧倒的に食べやすいのです。
「にゅうめん」が病気の時の食事として優れている理由
そうめんを温かいお出汁で煮込んだものを「にゅうめん(煮麺)」と呼びます。これが病気の時に優れている最大の理由は、「水分と温度」です。
【マルカツ製麺所だより:厳しい寒さが作るコシ、お出汁がほどく優しさ】
私たちの工場では、小豆島の冬の冷たい空気の中、まず外で天日干しをして麺をゆっくり育て、そのあと室内で熱をかけて水分を飛ばし、仕上げています。冬の冷たい空気の中でじっくり干すことで、麺がキュッと引き締まり、凛とした強いコシが生まれます。
しかし、にゅうめんにする時は、そのコシをあえて優しくほどいてやるのです。
お鍋の中でコトコトと煮込まれたそうめんは、黄金色のお出汁をたっぷりと吸い込み、ほんのり飴色に透き通っていきます。立ち上る湯気とともに、ふっくらと柔らかくなった麺を口に含むと、お出汁の旨味と一緒にホロリとほどけ、疲れた体を芯からジンワリと温めてくれます。
水分を十分に含んでいるため、消化液と混ざりやすく、胃への負担が極めて少ないのです。
そうめんは消化にいい?――職人がお答えします
そうめんの原料は「小麦粉・塩・水」だけで、麺はとても細く延ばしてあります。そのため柔らかく煮るとすぐに火が通り、噛む力をあまり使わずに食べられます。
この点が、体が弱っている時にそうめん(特ににゅうめん)をおすすめしている理由です。
ただし「そうめんなら何でも消化にいい」わけではありません。消化のしやすさは、麺そのものよりも温度・やわらかさ・量・一緒に食べるもので大きく変わります。
- 温かくして食べる:冷たい麺より、お出汁で煮たにゅうめんの方が体を冷やさずに食べられます。
- 柔らかめに煮る:表示の茹で時間どおりに茹でたあと、お出汁で少し煮るとふっくら柔らかくなります。
- 量は少なめに:食欲がない時は1束(50g)ほどから。様子を見て足すくらいで十分です。
- 油の多い具は控える:天ぷらや脂の多い肉より、溶き卵・大根・とろろ昆布など、やさしい具材を合わせます。
- 塩分を落としてから使う:そうめんは作る時に塩を使うため、茹でたあとしっかり揉み洗いして塩分とぬめりを落としてからお出汁に入れます。
【職人の声】体調を崩したときは、とろみのあるかき玉のにゅうめん
体調を崩したときは、とろみのあるかき玉のにゅうめんを作ることが多いです。トッピングには、かまぼこなどを入れることが多いですね。
個人的には、体調を崩したときに温かいものを食べると、よく眠れて、体調の回復が早い気がします。
※体調や持病によって、食べてよいもの・量は変わります。食事の制限を受けている方や、症状がつらい時は、かかりつけの医師にご相談ください。
職人が教える、胃に優しい「究極のにゅうめん」の作り方

病気の時のためのにゅうめんは、作り方にほんの少しだけコツがあります。
それは、「下茹で」を少し短めにすることです。
たっぷりのお湯でサッと湯がき、ザルにあげてしっかり揉み洗いをして表面のぬめりと塩分を落とします。その後、温めておいたお出汁の中で少しだけ煮込みます。
こうすることで、お出汁の旨味を麺がしっかりと抱き込みます。
マルカツ製麺所でも、にゅうめんにするときは、少し手間はかかりますが、茹でたあとに洗っています。
具材は、溶き卵やとろろ昆布、柔らかく煮た大根など、消化の良いものがおすすめです。最後にネギを少し散らせば、青い香りが優しく食欲を刺激してくれます。
よくあるご質問
Q. そうめんとうどん、カロリーは違うのですか?
A. 実は、乾麺の状態で100gあたりのカロリーを比較すると、どちらもほとんど変わりません。しかし、そうめんは1食あたりの量が控えめでも、お出汁と一緒にいただくことで満足感が得やすいため、結果的に胃腸に負担をかけすぎないという利点があります。
Q. にゅうめんにする時、水洗いせずにそのままお出汁で煮込んでもいいですか?
A. そうめんには、製造過程で麺の状態を維持するために塩を使用しています。そのため、一度別のお鍋で茹でてしっかり揉み洗いし、塩分と表面のぬめりを落としてからお出汁に入れることをおすすめします。そうすることで、お出汁が濁らず、雑味のない澄んだ優しい味わいに仕上がります。
Q. にゅうめんには、どの太さのそうめんが向いていますか?
A. マルカツ製麺所では、にゅうめんには太口を使うことが多いです。食べごたえがあるためです。お手元に太口がなければ、細口でもおいしく作れます。食欲がないときは、細いそうめんを柔らかめに煮ると、食べやすくなります。
Q. 本当に美味しいにゅうめんを作るには、どんなそうめんを選べばいいですか?
A. 温かく煮込んでもドロドロに溶け崩れず、心地よい食感がほんのりと残る「手延べ」のそうめんをおすすめいたします。手前味噌で恐縮ですが、もしよろしければ、私たちのマルカツ製麺所でお作りしている手延べそうめんをお試しになってみませんか。
職人が手間暇かけてグルテンの網目構造をしっかり形成しているため、温かいお出汁の中でも表面はつるりと、中はふんわりとした、まさに理想的なにゅうめんに仕上がります。直販サイトから、私たちの手元から直接、一番良い状態でお届けしております。
【最後に:小豆島のマルカツ製麺所から】
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
私たちのいる小豆島には、冬になると瀬戸内海特有の冷たい風「寒霞渓(かんかけい)おろし」が吹き降ろします。この冷たく乾燥した風と、穏やかに照らす日差しという島の豊かな自然が、私たちのそうめんを美味しく育ててくれます。

私たちは明日も変わらず、朝早くからこの島で粉と塩水に向き合い、ただ実直に麺を延ばし続けます。
もしご自身やご家族が風邪を引いてしまった時。あるいは、ふと温かくて優しいものが食べたくなった時。
私たちのそうめんのことを思い出していただけたら、これほど嬉しいことはありません。
工場から出したばかりの、飾り気はないけれど一番美味しい状態の麺をご用意して、いつでもお待ちしております。
ツルッとした喉越しに、しっかりしたコシ。100年、生地を細く伸ばし続けた手延べの“違い”を毎日の食卓で。
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