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記事の監修:マルカツ製麺所 三木政人

マルカツ製麺所は、創業以来地域に根ざし、厳選した国産小麦と清らかな水を使った麺づくりにこだわってきました。確かな製法と経験をもとに、うどんやそばを中心とした美味しさと品質を追求し、食卓に笑顔を届けています。

なぜ、家のそうめんは店より味が落ちるのか?――職人が「茹で時間」よりも大切にしている1つのこと

そうめん 茹で方
なぜ、家のそうめんは店より味が落ちるのか?――職人が「茹で時間」よりも大切にしている1つのこと

「茹でた後」にこそ、プロと家庭の決定的な差があります

「お店で食べるそうめんはコシがあって喉越しが良いのに、家で作るとどうしても少し『粉っぽい』というか、キレがない……」

もしそう感じているなら、それは茹で時間のせいではありません。実は、多くのご家庭で見落とされがちな「揉み洗い(もみあらい)」にこそ、決定的な違いがあります。

私たち職人が作る「手延べそうめん」は、生地を延ばす工程で植物油を使います。この油と、茹でる際に出るぬめりを、冷水で「衣類を洗濯するように」ゴシゴシと洗い流すこと。

これが、専門店のようなツルツルとした「麺の肌」と、パツンと弾ける「コシ」を生む唯一の正解です。この記事では、私たち製造現場の人間だけが知っている「本当に美味しいそうめんの仕上げ方」をお伝えします。

【職人直伝】そうめんを劇的に美味しくする3つの鉄則

忙しい方のために、まずは要点だけをまとめました。これだけ守れば、いつものそうめんが別物に変わります。

  • お湯はケチらない: 麺が鍋の中で踊るよう、たっぷりのお湯(麺100gに対して1リットル以上)で茹でる。
  • 差し水(ビックリ水)は禁止: お湯の温度が下がり、麺の芯まで火が通るのを邪魔してしまいます。吹きこぼれそうなら火を弱めてください。
  • 「氷締め」の前に「ゴシゴシ洗い」: 氷水につける前に、流水でぬめりを完全に取り除くことが最重要です。

職人が「茹で時間」よりも「洗い」に命をかける理由

1. 麺の「肌」を磨く作業だと考えてください

「そうめんは繊細だから、優しく扱わなきゃ」と思っていませんか? 実は、それは逆です。特に私たちマルカツ製麺所のような「手延べそうめん」は、グルテンの繊維が縄のように強く結びついているため、多少手荒に扱っても切れることはありません。

茹で上がった直後の麺は、表面が糊(のり)状のデンプンと、製造時に使った油で覆われています。これを落とさずに食べると、口当たりが悪く、時間とともに急速に味が落ちていきます。

流水の中で、両手をすり合わせるように「拝み洗い」をするか、ザルに押し付けるようにして洗ってください。「キュッ」と麺が引き締まる感触が指に伝わってくるまで。このひと手間が、麺の表面を磨き上げ、あの美しいツヤを生み出すのです。

2. 五感で楽しむ「冷たさ」の魔法

美味しいそうめんには「温度」も欠かせません。 洗い終わった麺を、最後は必ず氷水で「キュッ」と締めます。

職人の私たちでさえ、真夏にこの作業をすると指先が痺れて痛くなるほどです。しかし、この冷たさが麺の組織を収縮させ、噛んだ瞬間に「パツッ」と弾けるような歯ごたえ(コシ)を完成させます。

食卓に出した時、器から立ち上る冷気と、口に入れた瞬間の清涼感。そして、噛み締めた後に鼻に抜ける小麦の甘い香り。これらが揃って初めて、そうめんは「ご馳走」になります。

【マルカツ製麺所だより】工場の朝、麺と会話する時間

ここで少し、小豆島にある私たちの工場の話をさせてください。

私たちの朝は、その日の「湿度」と「風」を読むことから始まります。2026年の今は、空調管理技術も進歩しましたが、最後はやはり人の肌感覚です。 乾燥場(はたば)に入った瞬間、吊るされた麺が風に揺れて触れ合う「カサッ、カサッ」という乾いた音を聞くと、「ああ、今日はいい麺になったな」と安堵します。

検品の際、私は必ず乾燥した麺を一本、パキッと折って断面を見ます。そして茹でてみて、何もつけずに一本食べる。 塩加減はどうか、小麦の香りは立っているか。昨日よりも今日の麺が美味しいか。 毎日毎日、何十年も同じことを繰り返していますが、飽きることはありません。工場の湿度が1%変わるだけで表情を変える麺たちは、まるで生き物のように愛おしい存在なのです。

よくある質問(FAQ)

そうめんを最高に美味しく食べるために、よくいただく質問にお答えします。

Q1. 茹で時間は袋の表示通りでいいのですか?

A. はい、基本的には表示通りで構いません。ただし、私たちのオススメは「表示時間のマイナス30秒」で一度硬さを確認することです。余熱でも火が通るため、少し早いかな?くらいでザルに上げるのが、コシを残すコツです。

Q2. 安いそうめんと高いそうめん、茹で方で差は埋まりますか?

A. 正直に申し上げますと、限界はあります。「手延べ」ではない機械製のそうめんは、強く洗うと切れてしまうことがあるからです。しかし、今回ご紹介した「ぬめりをしっかり取る洗い方」を実践していただくだけで、どのような麺でも間違いなく今までより美味しくなります。

Q3. 「ゴシゴシ洗い」をしても切れない、本当にコシの強い麺はどこで買えますか?

A. 手前味噌になりますが、そうした麺をお探しであれば、ぜひ私たちが作ったそうめんを試してみてください。 スーパーで売られている麺とは違い、小豆島の寒風の中で鍛え上げたマルカツの麺は、強い力で洗っても負けません。むしろ、洗えば洗うほどに輝きを増します。「家庭でこんな食感が楽しめるのか」という驚きを、ぜひ体験していただきたいですね。

最後に:小豆島の製麺所から

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

小豆島は今、穏やかな海風が吹いています。 私たちは明日も変わらず、朝早くから粉にまみれ、この場所で麺を作り続けます。派手な宣伝は得意ではありませんが、食べた人がふと笑顔になるような、そんな実直な麺づくりだけは誰にも負けないつもりです。

もし、今日、あるいは次の休日に「本当に美味しいそうめんが食べたいな」と思い出すことがあれば、私たちのことを思い出してください。 工場から出したばかりの、飾り気はないけれど一番美味しい状態の麺を用意して待っています。

あなたの食卓が、涼やかな音と笑顔で満たされますように。

マルカツ製麺所の「現在のラインナップ」を見てみるhttps://marukatsu-seimen.com/

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