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記事の監修:マルカツ製麺所 三木政人

マルカツ製麺所は、創業以来地域に根ざし、厳選した国産小麦と清らかな水を使った麺づくりにこだわってきました。確かな製法と経験をもとに、うどんやそばを中心とした美味しさと品質を追求し、食卓に笑顔を届けています。

「島の光」の黒帯と赤帯、どっちが美味しい?――職人が教える「好みの見つけ方」と等級の真実

小豆島そうめん 手延べそうめん そうめんの選び方 美味しい茹で方 職人のこだわり
「島の光」の黒帯と赤帯、どっちが美味しい?――職人が教える「好みの見つけ方」と等級の真実

「せっかく小豆島のそうめんを買うなら、一番美味しいものを食べたい」 「黒帯の方が高級らしいけれど、実際に味はどう違うの?」

そうめんの季節が近づくと、私たち製麺所にもこのようなご質問をよくいただきます。スーパーの棚に並ぶ「赤帯」と、贈答用で見かける「黒帯」。値段も違えば、パッケージの雰囲気も違う。迷ってしまうお気持ち、よく分かります。

結論から申し上げます。 「黒帯」は、極寒の時期に作られた、より細く、コシの強い「特級品」。 「赤帯」は、広い時期に作られた、小麦の風味が豊かな「上級品(標準)」。

どちらが「美味しい」かは、実は「どうやって食べるか」「喉越しと小麦の味、どちらを優先するか」で決まります。

この記事では、小豆島で日々粉まみれになりながら麺と向き合っている職人の私が、帯の色の違いから、プロしか知らない「本当に美味しいそうめんの選び方」まで、包み隠さずお話しします。これを読み終える頃には、あなたの食卓に並ぶそうめんが、いつもより数倍美味しく感じられるはずです。

【30秒でわかる】職人直伝!赤と黒の選び方ヒント

忙しい方のために、私たち作り手が使い分けている基準をまとめました。

  • 「黒帯(特級)」がおすすめな人・シーン
    • 喉越し重視派: ツルッとした滑らかさと、強いコシを楽しみたい。
    • 冷やしそうめん一択 シンプルにつゆにつけて、麺そのものの食感を味わいたい。
    • 贈り物 目上の方や、食通の方へのギフトとして失敗したくない。
  • 「赤帯(上級)」がおすすめな人・シーン
    • 小麦の味重視派: 麺が少し太いため、噛むほどに小麦の甘みが広がる。
    • アレンジ料理: 「にゅうめん」や「そうめんチャンプルー」など、炒めたり煮たりする場合(麺が負けない)。
    • 育ち盛りのお子様へ: ガッツリと量を食べたい時の、家庭の味方。

そもそも、なぜ「帯の色」が違うのか?

小豆島手延素麺「島の光」には、組合が定めた厳格な等級があります。その違いを生む最大の要因は、実は「気温」なんです。

1. 「極寒」が育てる黒帯のコシ

黒帯(特級品)は、12月から1月の「極寒期(ごっかんき)」にしか製造されません。

私たち職人にとって、この時期の朝は戦いです。吐く息が白くなるどころか、工場の凛とした冷気が肌を刺すような寒さ。しかし、この「寒さ」こそが麺を美味しくするスパイスなのです。

気温が低いと、生地が急激にダレることなく、ゆっくりと熟成します。これにより、限界まで細く延ばしても切れず、茹でた時に「パツン!」と弾けるような強いコシが生まれます。細さは0.65mm〜0.75mmほど。この繊細な糸のような麺を作るには、熟練の技術が必要です。

2. ベテラン職人の「耳」と「手」

ここで少し、私たちの工場の話をさせてください。

マルカツ製麺所の朝は、生地の「声」を聞くことから始まります。 小麦粉と塩水を混ぜ合わせる時、その日の気温や湿度に合わせて、塩の量や加水率をコンマ数パーセント単位で調整します。

特に私が神経を使うのが「熟成」の見極めです。 静まり返ったねびつの中で、生地の状態を手で触れて確かめます。赤ちゃんの耳たぶのような柔らかさの中に、押し返してくるような弾力(グルテンの力)を感じ取れた時、「ああ、今日は良い麺になる」と確信します。

黒帯のような細い麺を作る時は、このグルテンの網目構造を壊さないよう、より慎重に、まるで麺のご機嫌を伺うように延ばしていきます。機械化が進んだ現代でも、最後は職人の「手の感覚」が味を決めるのです。

3. 「赤帯」が決して劣っているわけではない理由

よく「赤帯は黒帯より下のランク」と思われる方がいますが、職人としては少し違和感があります。

赤帯は黒帯よりも少し麺が太い(0.70mm〜0.90mm)のが特徴です。太いということは、それだけ

小麦の香り」をダイレクトに感じられるということ。 また、ごま油の風味(小豆島そうめん最大の特徴です)との馴染みも良く、口に入れた時の「食べた!」という満足感は赤帯ならではの魅力です。

私の家でも、冬場に温かい「にゅうめん」を作る時は、煮崩れしにくい赤帯をあえて選ぶことが多いですよ。

よくあるご質問(FAQ)

お客様から寄せられる疑問に、職人の視点でお答えします。

Q1. 賞味期限が長いですが、古いほうが美味しいって本当ですか?

A. はい、本当です。「古(ひね)」と呼ばれるものです。 梅雨を越して1年〜2年熟成させたものを「古(ひね)」と呼びます。高温多湿の時期を越えることで、麺の中の脂分が抜け、酵素の働きでコシがさらに強くなります。ただ、保存状態が悪いと油焼けしてしまうので、ご家庭での長期保存は湿気に注意してくださいね。

Q2. 茹でる時のコツはありますか?

A. 「梅干し」を一粒入れてみてください。 お湯が沸騰したら麺を入れますが、その際にお湯の中に梅干しを一粒入れると、酸の力で麺が引き締まり、コシが出やすくなります。そして何より重要なのは、茹で上がった直後の「冷水でのもみ洗い」。氷水でキュッと締めることで、私たちの目指した食感が完成します。

Q3. 「島の光」はどこで買っても味は同じですか?

A. 基本的な基準は同じですが、「鮮度」と「管理」で差が出ます。 組合の検査を通ったものは全て「島の光」として出荷されますが、実は製造している製麺所(生産者)によって、微妙に手のクセやこだわりのニュアンスが異なります。 また、流通経路によっては、倉庫で長く保管されていたり、温度変化を受けたりしている場合もございます。

もし、「職人が工場で検品したばかりの、一番状態の良い麺」を味わってみたい、あるいは「誰が作ったか顔が見える安心感が欲しい」と思われましたら、私たちのようなマルカツ製麺所からの「直販」をお試しください。 手前味噌ですが、工場から直送する麺は、袋を開けた瞬間の小麦とごま油の香りの立ち方が違います。

最後に小豆島のマルカツ製麺所から

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今日の小豆島は、瀬戸内海特有の穏やかな日差しに包まれています。この風土と、先人たちが築き上げてきた技術があるからこそ、私たちは今日も美味しいそうめんを作り続けることができています。

黒帯」の繊細な喉越しも、「赤帯」の力強い風味も、どちらも私たちが自信を持って送り出す我が子のような存在です。

もし、あなたが「スーパーのものとは違う、本場の味を試してみたい」と思われたり、「大切な人に、間違いのない美味しさを贈りたい」と思われた時は、ぜひ私たちのことを思い出してください。

派手な宣伝はできませんが、工場では今日も、飾り気のない、しかし嘘のない「最高の一杯」をご用意して、あなたからのご注文をお待ちしております。

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