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監修者

記事の監修:マルカツ製麺所 三木政人

マルカツ製麺所は、創業以来地域に根ざし、厳選した国産小麦と清らかな水を使った麺づくりにこだわってきました。確かな製法と経験をもとに、うどんやそばを中心とした美味しさと品質を追求し、食卓に笑顔を届けています。

午前5時、生地の「声」を聞く。――マルカツ製麺所が、機械化が進んでも「手仕事」を残す理由

手延べそうめん
午前5時、生地の「声」を聞く。――マルカツ製麺所が、機械化が進んでも「手仕事」を残す理由

なぜ、私たちは手間にこだわるのか

「機械で作れば、毎日同じものができるのではないか?」 そう聞かれることがよくあります。確かに現代の機械は優秀です。しかし、小豆島の冬の未明、工場に入った瞬間の「空気の重さ」や、小麦粉が吸っている「湿度の機微」までは、まだ機械には分かりません。

結論から申し上げますと、私たちが手仕事を残し続ける理由は、小麦が「生き物」だからです。

その日の気温、湿度、そして小麦粉自体のコンディション。これらは毎日違います。この微細な変化に対し、職人が指先で会話をするように水分や塩加減を調整することで初めて、私たちが誇る「コシ」と「喉越し」が生まれます。

この記事では、普段はお見せすることのない午前5時の工場の様子と、そこで行われている「対話」について、少しだけお話しさせてください。読み終える頃には、きっとこれまでとは違った感覚でそうめんを味わっていただけるはずです。

職人の目線:美味しいそうめんを見分ける「3つの基準」

スーパーや贈答品選びで迷われた際、プロはここを見ています。

  • 麺の「角(カド)」が立っているか
    • 丁寧に手延べされた麺は、茹で上がりも丸くなりすぎず、断面にエッジが残ります。これが口当たりの良さを生みます。
  • 束帯の色(ランク)と原材料
    • 小豆島手延べそうめんには「赤帯」「黒帯」などの等級があります。特に上位等級は、より細く、かつ強いコシを持つために熟練の技が必要です。
  • 「寒造り(かんづくり)」であるか
    • 最も美味しい麺は、極寒の時期(12月〜2月頃)に作られます。冷たく乾燥した風が、麺をゆっくりと熟成させます。

小麦は、毎日違う顔をしている

指先が感じる「0.1%」の違和感

午前5時。小豆島の町がまだ深い眠りについている頃、私たちの仕事は始まります。 工場の扉を開けると、ひんやりとした冷気とともに、ふわりと小麦の香りが鼻をくすぐります。まずは温度計と湿度計を見ますが、それはあくまで目安にすぎません。

一番のセンサーは、私の「手」です

おで機の中で回り始めた生地に触れた瞬間、指先に伝わる反発力。「今日は少し、生地がかたいな」と感じれば、加水をほんのわずかに変えたり、練る時間を数十秒長くしたりします。 この「数値化できない微調整」こそが、機械任せにできない理由です。もしマニュアル通りの分量で毎日作っていたら、ある日は最高の麺ができても、別の日はボソボソとした麺になってしまうでしょう。

【マルカツ製麺所だより】生地の声を聞く「足踏み」の儀式

私たちの工場では、練り上がった生地をさらに鍛える工程があります。 かつては「足踏み」で行っていましたが、現在は衛生面と均一な圧力を考慮し、専用のプレス機を使うこともあります。しかし、その際も必ず職人が生地の状態を手で確かめます。

以前、こんなことがありました。 記録的な暖冬で、2月だというのに春のような湿気があった日です。いつもの冬のレシピ通りにしようとした若い職人を、私は思わず止めました。「生地が泣いている」と感じたからです。 その日は塩分を強め、熟成時間を1時間長く取りました。結果、茹でた時に決して伸びない、凛とした麺に仕上がりました。 データよりも、現場の皮膚感覚を信じる」。これがマルカツ製麺所の変わらぬルールです。

「箸分け」で見える、白い絹のカーテン

生地をひたすら細く延ばしていき、最後に行うのが「箸分け(はしわけ)」という作業です。 2本の長い箸を使い、くっつきそうになる麺をさばきながら、限界まで細く延ばしていきます。

この時、麺はまるで生きているかのように震えます。 無理に引っ張ればブチっと切れてしまう。かといって、怖がって力を抜けば、均一な太さにならない。 麺が「ここまでは伸びてもいいよ」と言ってくれるギリギリのラインを見極め、スッと箸を入れる。成功すると、工場内に数百本の白い絹糸が垂れ下がったような、美しいカーテンが現れます。

この瞬間の達成感は、何十年やっていても色褪せることがありません。そして、「今日も良い麺ができた」と確信する瞬間でもあります。

よくあるご質問(FAQ)

お客様から寄せられる、素朴な疑問にお答えします。

Q:手作業が多いと、衛生面が気になります。 A: ご安心ください。私たちは「昔ながらの製法」を守りつつ、「現代の衛生管理」を徹底しています。職人の勘が必要な工程以外(パッケージングや金属探知機による検査など)には最新の設備を導入し、安心と安全を担保した上で、人の手による温かみをお届けしています。

Q:スーパーのそうめんとは、具体的に何が違うのですか? A: 最大の違いは「喉越し」と「コシ」の両立です。機械で切った麺(機械製麺)とは異なり、手延べそうめんは「ねじり」を加えながら延ばすため、グルテンの繊維が縄状に形成されます。これにより、細くてもプリッとした弾力が生まれ、つるりとした独特の食感が完成します。

Q:職人さんが「一番美味しい」と思う状態で食べるには、どこで買うのが正解ですか? A: 専門店や百貨店でもお取り扱いいただいていますが、手前味噌ながら…「製麺所からの直販」が最も確実です。 工場で検品を終え、熟成が完了したばかりの麺を、余計な流通時間をかけずにお届けできるからです。「本当に美味しい状態」を知っていただくなら、やはり作り手から直接手渡すような形が一番だと、私たちは考えています。

【最後に:小豆島のマルカツ製麺所から】

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 窓の外が明るくなり、瀬戸内海の穏やかな海面が朝日でキラキラと輝き始める頃、私たちのその日の製麺作業はひと段落します。

冬の厳しい寒風も、夏の強い日差しも、すべてがこの島のそうめんを育てるスパイスです。 私たちは明日もまた午前4時に起き、生地の声を聞き、変わらぬ味を作り続けます。

もし、あなたが「今日は本当に美味しいものを食べて、心から満たされたい」と思われたなら、私たちのことを思い出してください。 派手な宣伝はできませんが、工場から出したばかりの、飾り気のない一番美味しい麺を用意して、あなたをお待ちしています。

マルカツ製麺所の「現在のラインナップ」を見てみる → https://marukatsu-seimen.com/

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